Matching Mole

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ロバート・ワイアットがソフト・マシーン脱退後にデイヴ・シンクレアらと共に作成した、甘美なメロディが最大の魅力の作品。

聴きどころは(1)「O Caroline」。歌詞はロバート・ワイアットが当時別ればかりのガールフレンド、Caroline Coonのことだそうな。デイヴ・シンクレアの作曲。
歌詞の中身は未練タラッタラな感じなんですが、あの甘い歌声だと許されますね。

曲はといえば、イントロのなんとも優しいメロトロンで既に涙腺に来るものがあります。美しいメロトロンのイントロを受け継いで展開されるシンクレアによるピアノの伴奏とワイアットの歌声が非常に甘美。ドラムはクローズドリムを静かに叩くのみ。
この曲、学校の卒業の時に歌う唱歌っぽい懐かしさと寂しさがあります。多分、日本人なら万人ウケするんじゃないですかね。

エリック・クラプトンの「Layla」のような激しくて暑苦しいラブソングもいいですが、こういう甘くて優しいメロディもいいですね。O CarolineもLaylaも、本人の特性を最大限に活かした結果できた歌のように感じます。やばり現実に直結するラブソングは気合の入れようが違うのでしょうか。

この甘美な雰囲気をそのまま受け継ぐのは(2)「Instant Pussy」。これはロバート・ワイアット1970年に作ったソロ作「The End of an Ear」収録の「To Carla, Marsha and Caroline (For Making Everything Beautifuller)」のアレンジ。これもまた美しいです。

(3)も、デイヴのピアノの伴奏と、今にも切れてまう糸のような細いワイアットのボーカル曲。

この作品はずっとこういう甘美な雰囲気なんだろうか?と油断しているとやられるのが(4)「Part of the Dance」。
Soft Machineの3rdを彷彿とさせる、なんともハードで歪んだ音。ここまで甘ったるい曲を散々聴かされて成仏寸前のカンタベリーリスナーは待ってましたと狂気するでしょう。中間部のどフリーな展開は、演奏者たちがこれまで溜まていたものを吐き出しているよう。

単純に歌ものとして名作。カンタベリーリスナーは必聴の作品だとおもいます。
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